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IFRSを任意適用した場合の変更点をまとめました。

こんにちは。監査法人勤務会計士のバーーーン!!!と申します。本日はIFRSを任意適用した場合の変化点をまとめていきます。

なお今回まとめている情報の網羅性に自信はありません。私自身、IFRS監査に携わったことがなく、あくまで自分の勉強の一環でまとめているだけなので、その点を考慮して読んでいただけますと幸いです。


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IFRSでは一般的に日本基準における開示と比べて定性的情報と定量的情報のいずれも注記の分量が増加すると言われています。そこで今回は注記に焦点を絞り解説します。

 

 

◆IFRS任意適用したことにより求められる注記

1.顧客との契約から生じる収益にかかる開示

→現行の日本基準では、収益に関する開示は特段要求されていませんが、IFRS15号で要求されています。主な開示事項は下記のとおり。

 

(1)顧客との契約
→下記4つを開示する


収益の分解:例えば「医療・科学・映像などのセグメントの日本・北米・欧州などのそれぞれの売上情報」など。
契約残高:例えば「据え付けサービスの対価としての前受金の情報」など
履行義務:例えば「履行義務を充足する時点は、原則として顧客の検収時であること」「返品に応じる義務は、過年度返品実績に応じた見積もり返品高を売り上げ収益から控除している」など
残存履行義務に配分した取引価格:例えば「売上収益のうち開発協力等の関連する残存履行義務に配分した取引価格の総額および収益の認識が見込まれる期間の情報」など

 

(2)顧客との契約にIFRS15号を適用する際に行った重要な判断
→例えば「当社はメーカーのため納品時に収益を計上している」など。

 

(3)顧客との契約の獲得または履行のためのコストの金額を算定する際の重要な判断
→例えば「楽天スーパーポイントのような新規入会者に付与したポイントに関するコスト情報」など。

 

2.金融商品から生じるリスクの内容および程度

 →日本基準では、金融用品に関する注記において「金融商品から生ずるリスクに関する情報等」を開示する。その一方で、IFRSでは、報告期間の末日現在で晒されていた金融商品から生じるリスクの内容及び程度を財務諸表の利用者が評価できるようにするため「リスク管理の目的、方針、手続ならびにリスクを測定するために用いている方法等」定性的開示および「報告期間の末日現在でリスクに晒されている程度に関する定量的データの要約等」定量的開示 も要求される。

具体的な項目としては下記の通り。

 

(1)信用リスク

→定性的開示と定量的開示に分けて、具体例を書く。

 

・定性的開示:例えば「契約上の支払期日より30日超の経過があった場合には原則として信用リスクの著しい増加があったものとする」など

 ・定量的開示:例えば「貸倒引当金および対象金融資産の増減」など

 

(2)流動リスク

→定性的開示と定量的開示に分けて、具体例を書く。

 

・定性的開示:例えば「当社が保有する金融負債のうち借入金は取引金融機関に対する当社の信用力やマーケット環境へによる資金調達条件悪化などのリスクに晒されている」など

 ・定量的開示:例えば「金融負債(デリバティブを含む)の期日別残高」など


(3)市場リスク

→定性的開示と定量的開示に分けて、具体例を書く。

 

・定性的開示:例えば「変動金利による資金調達を行っており、金利リスクに晒されている。金利リスクは主に長期借入金から発生する」など

 ・定量的開示:例えば「当年度末現在において保有する金融商品において1%の金利変動が生じた場合に税引前利益に及ぼす影響」など

 

3.ヘッジ会計にかかる開示

→目新しいものはなかったです。なお、多くの企業が「リスク管理戦略に関する定性的情報」を重要な会計方針において開示している一方、「将来キャッシュ・フローの金額、時期および不確実性と、ヘッジ会計が財務諸表に与えた影響」についてはヘッジ会計注記において開示しているようです。

 

4.IFRS13号(公正価値測定)に基づく開示

→IFRS13号「公正価値測定」により、公正価値に関する様々な開示が求められています。例えば「公正価値ヒエラルキーと呼ばれる3つのレベルに区分したデリバティブの期末時点の評価」など。

公正価値ヒエラルキーの意味はググってみてください。新日本監査法人のページがわかりやすいです。

www.eyjapan.jp

 

5.FVTOCIについての注記

→FVTOCIとは、(Financial assets at fair value through other comprehensive income)の略で、その他包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産を意味します。正直、私も初見ですし、意味だけ抑えれていればいい気がします。

日本の場合は、政策投資目的で保有している株式が該当しそうです。

 

6.のれんの減損テストに係る開示

 →IFRSではのれんの兆候の有無にかかわらず、減損テストを毎年実施しなければなりません。開示においても同様で、減損の発生の有無を問わず重要なのれんについて減損テストの内容を開示することが求められています。

  

7.IFRS3号(企業結合)に係る注記

 →特徴的な開示は、下記のおとり。

(1)企業結合により取得した債権

(2)条件付対価および補償資産

(3)企業結合による正味キャッシュ・フロー

 

8.IFRS2号(株式報酬制度)に係る注記

→株式報酬制度として主流であったストックオプションに加え、近年ではESOP信託譲渡制限付き株式報酬といった自社の現物株を支給する制度や、ストックアプリシエーションライトファントムストックといった、現金決済型の制度を導入する企業が多く出てきている。IFRSでは、それらの内容や範囲、期中に受け取った財の公正価値、およびそれらが企業に与える影響を開示することが要求されています。

 この論点は去年の修了考査で勉強しました。懐かしいです。

 

◆まとめ

 →いかがだったでしょうか。私もまとめながら「想像以上に多いな」というのが率直な感想です。もちろん情報が多いほうが投資の際に有用なのですが、開示される情報が難しすぎても本当に投資の意思決定に資するのか疑問ですよね。

 

また、冒頭でも記載しましたが、今回まとめている情報がすべてという保証はなく、私自身IFRS監査に携わったこともありません。あくまで自分の勉強の一環でまとめているだけなので、その点を考慮して読んでいただけますと幸いです。

 

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